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悪性腫瘍(がん)について

産婦人科で取り扱う悪性腫瘍(がん)について

神奈川県産科婦人科医会 悪性腫瘍対策部

1. からだのしくみ

産婦人科で取り扱う臓器は、子宮・卵巣・卵管・腟・外陰です。子宮は入り口の狭くなっている部分を頚部、奥の部分を体部と呼んでいます。乳房は妊娠・分娩・産褥に関係する場合とがん検診に限って産婦人科が診療していますが、手術などの治療は乳腺外科が担当することになっています。

[女性のからだ(1)] [女性のからだ(2)]

2. がんの頻度

それぞれに悪性腫瘍(がん)が発生する可能性がありますが、数の多い順に、子宮頚癌・子宮体癌・卵巣癌・卵管癌・外陰癌・腟癌となります。ちなみに神奈川県産科婦人科医会では毎年県下の治療数の統計を行っていますが、平成17は子宮頸癌832名(0期394名含む)、子宮体癌582名(0期48名含む)、卵巣癌573名(境界悪性94名含む)、その他の悪性腫瘍76名の発生数となっています。その他の悪性腫瘍76名の内訳は、外陰癌20名、腟癌10名、卵管癌6名、子宮肉腫17名、転移性腫瘍14名、その他9名です。

3. おかしいな?と思ったら

生理以外の出血・異常なおりもの・腹痛・乳房のしこり等、おかしいなと思ったら、近くの産婦人科医療機関を受診して下さい。症状がある場合は保険診療となりますので、保険証をお忘れなく。

4. がん検診とは

「がん検診」とは、無症状の方が受ける検査で、通常保険診療ではありません。市町村の行う公費検診や職場で行う職域検診が主なものです。早期発見・早期治療が目的ですから、症状のない方も定期的に受診することが理想です。受診方法や対象者、自己負担額などは市町村によって異なりますので、病医院や保健福祉センター・保健所にお尋ね下さい。

それでは、以下に産婦人科で取り扱う代表的な悪性腫瘍(がん)についてご説明します。

子宮頚癌

1. 子宮頚癌とは

子宮頚部にできる癌を「子宮頚癌」と呼び、子宮癌の半数以上を占めます。主に扁平上皮癌(子宮頚部の下半分の表面を覆う扁平上皮から発生する)と腺癌(粘液を分泌する頚管の腺組織から発生する)の二種類あり、扁平上皮癌が85%を占めています。患者さんの平均年齢は46歳程度(0期では40歳程度)ですが、年々若い患者さんが増えてきました。

子宮頚癌の発生にはある種のヒトパピローマウイルス(腟や子宮頚部に「イボ」を発生させるウイルス=HPV)の感染が関与していると言われており、性交渉によりその感染機会が増したために、発生年齢が低下しています。近年では、女性の70%は一生の内に感染機会があり、若年女性の20%以上がヒトパピローマウイルスを保有していると言われており、非常にありふれた感染であることが分かってきました。ですから、感染イコール発がんと短絡的に考えないことが大切です。

検診の目標である早期発見早期治療の効果が大いに上がっている癌の代表ですので、是非とも検診を受けて下さい。頚癌の前段階である「異形成」で発見されることも多く、また0期やⅠa期などの初期癌であれば、100%治癒も可能です。ただし腺癌では早期発見の難しい例もあります。

進行期 癌の広がり
(異形成) 頚癌に移行し易い状態。軽度・中等度・高度に分類する
0期 上皮内癌(表面に留まっている癌)
Ia期 子宮頚部に限局した初期癌
Ib期 子宮頚部に限局した浸潤癌
II期 子宮頚部から外へ出はじめた癌
III期 骨盤壁に達した癌
IV期 遠隔転移した癌

2. 症状

癌が進行すると、おりものが増えたり不正性器出血をみたりしますが、初期段階のがんや前がん状態の方では無自覚・無症状がほとんどです。早期発見のためには医師による細胞の採取(細胞診検査)が必要ですので、是非検診を受けましょう。

3. 治療法

子宮を摘出する手術が基本ですが、0期やIa期の初期癌では子宮頚部の一部のみを切り取る子宮頚部円錐切除術が可能です。子宮本体が温存されますので、治療後に妊娠・出産が可能です。さらに、治療施設は限られますが、特殊な薬剤とレーザー光線により、悪い細胞だけを殺してしまう治療法もあります。
しかし、初期癌を超えてしまうと、子宮の摘出にリンパ腺の摘出や靭帯の広範囲な摘出を加える必要があります。またII期以上では、放射線治療や抗癌剤治療が主体になることがあります。

子宮体癌

1. 子宮体癌とは

子宮頚部よりさらに奥の部分を子宮体部といい、ここにできる癌が子宮体癌(以下体癌)です。子宮体部の内面を覆う子宮内膜から発生します。体癌は日本人の生活が欧米化することによって増加してきた癌の1つとして、乳癌や大腸癌の増加と同様に問題となっています。体癌発生のリスク因子として、生理不順、妊娠・出産経験がない、肥満、女性ホルモン剤の使用などがあげられます。卵胞ホルモンという女性ホルモンが、発生に大きく関わっていることも知られています。

進行期 癌の広がり
0 期 異型内膜増殖症(前がん状態)
I 期 子宮体部に納まっている癌
II 期 子宮頚部に広がった癌
III期 骨盤内に広がった癌、リンパ腺への転移のある癌
IV 期 離れた場所に転移した癌

2. 症状

体癌の好発年齢は50歳台で、9割以上の方に生理とは異なる出血がみられます。閉経前後の時期の出血を更年期出血と思い込み、受診が遅れてしまうケースも多いのが現状です。不正性器出血や下腹部の痛みなどの気になる症状があったら、自己判断せず産婦人科を受診することが早期発見につながります。

3. 治療法

体癌治療の基本は手術で、子宮だけでなく、卵巣・卵管も摘出します。状況に応じてリンパ腺も一緒に切除する手術が行われます。Ⅱ期までであれば、8~9割は完全治癒が期待できます。卵巣は転移を起こしやすい臓器であるとともに、転移した癌が体内に残っていた場合に卵巣から分泌される卵胞ホルモンが癌の進行を促進する可能性があるため、両方の卵巣を摘出することが一般的です。進行した体癌に対しては、手術後の転移再発の予防や手術で摘出できない病変に対する治療として、抗癌剤や放射線治療を追加して行われることがあります。

若年で今後の妊娠・出産を強く希望していて、様々な検査で早期がんの可能性が高い場合、ホルモン療法も選択肢の1つとなりますが、確立した治療法ではありませんので、専門医にご相談下さい。

卵巣癌]

1. 卵巣癌とは

卵巣は、子宮の両サイドに存在する一対の小さな臓器です。妊娠に必要な卵子の形成など女性ホルモンを分泌する働きがあります。卵巣癌は40〜50歳に比較的多く見られますが、他の婦人科癌と異なり、10歳台の小児から高齢者まで幅広く見られ、癌の種類も多種にわたることが特長です。また、良性と悪性の中間的な態度を示す「境界悪性」と呼ばれるグループもあります。

進行期 癌の広がり
I 期 卵巣に限局した癌
II 期 骨盤内に広がった癌
III期 腹腔内に広がった癌、リンパ腺への転移のある癌
IV 期 離れた場所に転移した癌

2. 症状

自覚症状に乏しく、かなり進行するまで元気に見えるのが、この癌の特徴です。したがって、III期以上の進行癌が半数以上を占めるのが現状です。若干の症状を自覚しても、“太ったのかな?”と思って放置されるケースが多く見られます。
早期発見のために、下腹部の痛み、お腹が腫れる感じ、呼吸が苦しい(胸水の貯留)などの自覚症状のある場合は早めに受診しましょう。超音波検査を行うことで卵巣の腫れを確認することができます。しかし、それが癌かどうかについては、最終的には手術時の診断を待たねばなりません。(子宮がん検診のような検診制度は、卵巣がんにはまだありません。有用な検診方法については研究途上です。)

3. 治療法

早期の卵巣癌は手術単独で治ります。標準手術としては卵巣だけでなく、子宮・卵管・大網(大腸に付着する脂肪の膜)・リンパ腺も一緒に切除する手術が状況に応じて行われます。
比較的進行した卵巣癌の治療では、手術療法と抗癌剤の共同作業となります。前述の手術でできるだけ腫瘍を摘出しますが、手術のみではすぐに再発することも多いので、手術後(あるいは手術前に)に抗癌剤を点滴します。
妊娠を希望される若い女性の場合、局所に留まるIa期で比較的たちの良いタイプなどの条件を満たせば、反対側の卵巣・子宮を残せることがありますが、ほとんどの場合手術の後で抗癌剤を必要とします。

乳癌

1. 乳癌とは

現在、日本女性の25人に1人が乳癌にかかり、1年間に1万人余が乳癌で亡くなっています。お産の経験のないこと、母親や姉妹などに乳癌患者さんがいること、肥満、などが乳癌にかかりやすい要素として知られていますが、乳癌の原因はまだ明らかに解明されたわけではありません。成人女性なら誰にでもなりうる病気なのです。
平均年齢は50歳前後で40歳台〜50歳台が好発年齢ですが、すべての年代に可能性があります。

2. 症状

90%以上が、痛みを伴わないしこりで発見されます。進行すると皮膚のひきつれやくぼみを生じたり、血液の混ざった乳汁分泌が見られたりします。しこりが必ずしも癌であるわけではありませんが、必ず専門医で精密検査を受けて下さい。
検査としては診察(視触診)のほかマンモグラフィ(早期乳癌を発見するための乳房専用のX線撮影)、超音波検査や、細胞や組織を細い針で検査する方法が用いられます。
マンモグラフィは早期乳癌の発見に威力を発揮しますので、これを併用した検診システムが開始されています。また次回の乳がん検診までの間に、自己検診でしこりの有無を確認するのも良い方法です。

3. 治療法

乳癌の治療は外科(乳腺外科)が担当となります。
一般的に手術が行われ、乳房とリンパ腺の摘出が行われてきましたが、腫瘤のみ摘出し、あとは放射線照射を追加するという「乳房温存術式」が対象となる患者さんも増えてきました。また、手術前後に抗癌剤やホルモン治療を併用することもあります。詳しくは治療を担当する医師にお尋ね下さい。

その他の悪性腫瘍

1. 外陰癌

外陰癌は,もともと50歳台以上の方に多くみられる癌でしたが、近年では月経のある30~40歳台の方にもみられるようになっています。月経とは関係ない時期に下着に血がついたり、下着に擦れると熱感をもって痛かゆいといった、ただれの症状から気付くことが多いようです。
癌かどうかの診断、また範囲がどこまでかの診断は、一部組織を切り取って顕微鏡で観察して行います。
治療は,切除手術が第一ですが、皮膚の欠損が大きくなる場合は形成外科(皮膚科)との協力で行います。また、そけい部のリンパ腺を摘出することもあります。組織型や病変の範囲によっては、放射線治療を選択する場合もあります。

2. 腟癌

腟癌は50~60歳台の女性に多いですが、婦人科癌の約1%を占めるまれな病気です。症状は、子宮頚癌と非常に似ています。月経とは無関係におこる出血やおりもの、排尿する時の違和感や痛み、性交した時の痛みや出血などでみつかる場合も少なくありません。気になる症状がありましたら、まず婦人科を受診していただくことが早期発見の一番の近道です。
早期の腟癌であれば,手術が可能です。大部分(80~90%)は扁平上皮癌ですので、子宮頚癌と同様に放射線治療によく反応する性質をもっていますので、病状により治療方法を選択します。

3. 卵管癌

卵管癌は、子宮と卵巣を結ぶ卵管に発生する癌で、閉経後の50~70歳台を中心にみられます。卵巣癌と同様に、下腹部が痛んだり、ご自分で腫れを触れたり、月経とは関連のない出血などでみつかることがありますが、治療前に診断をつけることは困難です。しかし、出血混じりの水っぽいおりものが流れるように出る場合は、卵管癌を考慮して検査する必要がありますので、受診をお勧めします。
卵巣癌ほど大きくなりませんので、癌の原発が卵管であることの診断は、手術を行ってはじめて診断がつくことが大半です。
治療は卵巣癌とほぼ同様に行われます。

4. 子宮肉腫

子宮肉腫は子宮体部から発生しますが、発生する組織が異なるため「子宮体癌」とは別の名称を付けています。子宮体部の子宮内膜から発生する子宮内膜間質肉腫と、子宮筋層に発生する平滑筋肉腫が代表的なものです。閉経後の50~70歳台にみられる腫瘍ですが、稀なものです。
子宮に「こぶ」ができてきますので、良性の子宮筋腫との区別が問題になることが多いです。閉経すると女性ホルモンが少なくなるので子宮筋腫ならば徐々に小さくなっていくことが多いのですが、逆に大きくなったり、不正性器出血がみられる場合は、子宮肉腫を考える必要が出てきます。
子宮体癌よりも悪性度が強く、診断や治療に難渋することもありますので、早期発見のためにも閉経後の大きな子宮筋腫は観察が必要です。
治療はまず手術を行い子宮を摘出します。摘出して組織検査を行わないと肉腫かどうかの診断ができない場合もあります。進行した例では、手術のあとに抗癌剤を使います。